満月の夜
満月の夜、人がもしも狼男に変身したいなら、トリカブトとアヘンとコウモリの血で作った魔法の薬を飲まなければいけないらしい。
私の昨夜の夢…ヒッポリュトス、或はアルテミスか…私は戦車から落ちて死ぬようなことは無かった昨夜の夢である。
しかし、枕元にはいつも、美しきnoteを置くべし。
やはり、綴りは目覚めた時にハッとする瞬間に生じ、それを残すためには、よく滑るペン先が必要と、実感させられる今日この頃。
コンピューターを開くより先にそこにある紙の上における私の文字の流れは、決して遅くはない。
私の筆は、私がピアノの鍵盤に触れる時同様、旋律で行く。
その時、狼が走るが如く、たった独り、荒野の遠くを見て。
野生は無駄をしない、美しい現実である。
そこで、はて、私はこれを何に向かって言っているのだろう?
それは私が狼であるより、猫にあるような資質を持っているからかもしれないと、どうしても感じるからかしらね。だが、猫は狼を妬んだりなど、しない。猫もまた、無駄が嫌いだからである。悪戯にするなら…
お前、あの少女の放心したような唇と限られた視線の先にある瞳の窮屈をむき出しにしてやれ!
それこそ、私の作業かな。
時は今、21世紀、17世紀にあらず。
だが、私は時に平気で古代の夢にあるとおりの理不尽に招かれる事も可能であり、また、ただ、赦され難き魔法の薬を飲んだかのように夢を迎えながらも、猫が知り得る更に暗い闇を寝たフリをしながらも一日に10000歩も歩くだろう。
ヒッポリュトス、或はアルテミスから、随分近代に近づいてきたとはいえ、やはり未来が見当もつかない世の中に在り、私…
おまけに、魂胆すらないとは、私に野生がある証拠として認めよう。
pic1: Montoisonの猫
pic2: Risaの大切なノートのひとつ(表紙はかつてデン・ハーグはマウリッツハイス美術館を訪れた際に思い出として購入した"真珠の耳飾りの少女/青いターバンの少女" - フェルメールによる)…私の母はこの絵がとても好きなのである…
Risa :*)