5月23日/ありがとうございました!
5月23日、"Going a-Maying"と名付けさせていただいた、私の著書『YES』の出版記念イベントにお集りいただいた多くの方々、本当に、ありがとうございました。
夕立さえ招いた夏に似た陽気。
広いとはいえないスペースのMARUの店内はとても賑やかで、私はこの日、白いシャツを羽織っていたのだけれど、その後それを脱ぎ、潮音グッズのキャミソール姿になった。
いつも通り、そんな気分だった、最初は。
ところが、乾杯の後、トップバッターで演奏してくださった青山陽一氏の雰囲気に誘導されるように、気持ちが動き出した。
しかも青山君の粋な計らい・・・それは、氏がボトルネックを手にしながら、私がBrian Jonesを好きだから・・・とお話し始めて(実は、もしや"Little Red Rooster"かしらん? と思ったのだけれど)、私への贈り物として、ストーンズの"Ruby Tuesday"をカヴァーしてくださったのである。
そのようなわけで、私は次に4曲ほど歌わせていただいた。
1曲目 : "Space Oddity"/~by David Bowie(これはチェリーのバンジョーで)
2曲目 : "五月のマリア"
3曲目 : "ミネルヴァ/Minerva"
4曲目 : "ピカレスク/Picaresque"
2曲目以降は、詞も曲も自作の作品で、かれこれ十年以上前にライヴをしたり、録音した作品。"五月のマリア"こそ、昨年夏にちょっと機会があってステージで弾き語らせていただいたが、他の2曲は、本当に久しぶりに披露させていただいた。
sakanaのpocopenさん&青山氏は"Space Oddity"のコーラスでも参加してくださった。
そのsakanaのおふたりは、うっとりするような演奏・・・私は自分の演奏を終えた後だったので、もう、ただただおふたりの音楽に身を委ねていた。
pocopenさんは、『YES』に素敵な推薦文を書いてくださったが、私は彼女の精神と音楽に対する心の向け方に共感してしまう、このことは何度もこのpageに綴ったかもしれない。だが、あの優しいpocopenさんの表情の奥深くには、とても神聖なものが宿っているだろう。ね、pocopenさん、白い鳩を抱いて生きていきましょうね・・・。
最後に出演してくださったのは、あがた森魚さんである。
氏は、私にとって、大錬金術師。alchemist/alchemy・・・錬金術とは、「賢者の石」を創ることであり、それによって不老不死となりえると信じられた技術だが、これは中国や日本で言われた仙人になるための秘薬を創る修行にもよく似た伝説。しかし、どちらも化学や医学の面で進化した。異なる卑金属を融合することで黄金を創るとも言われた夢の化学でもある。
そう、あがたさんも憶えていてくださったのだけれど、これももう、十年以上も前の或る晩、渋谷かどこかで打ち上がり、遅くまで飲んでいた時、あがたさんと私は錬金術のお話をしたことがあったわ・・・あがたさんは、ジル・ド・レイのことをおっしゃり、私はパラケルススの名前を、それから、カリオストロのこと・・・。
そういうお話をされるあがたさんこそ、錬金術師、魔術師だと私は感じた晩だった。
23日の晩も、あがたさんは、魔術師になった。最初はずっと静かな面持ちで映像を撮ったり、ソフトドリンクを飲んでいらしたのだけれど、演奏が始まり、進むにつれ、それはもう、魔術師がマントをサッと広げるように大変貌する。
脇で観ていた私など、「ah......」と感激していたのだけれど、つい、立ち上がって乱入させていただいてしまった・・・。
雨はあがり、時刻は22時半頃だったかしら? 全てが終了したのは。
今月の半ば過ぎに、突然体調を崩され、入院してしまったMARUのオーナーであり私の著書の編集をしてくださった三島悟氏がこの晩、ご不在だったことは非常に残念だった。
三島さんは、このイベントをとても楽しみにしてくださっていたのである。が、その三島さんも、今日(5月25日)には退院なさったということである。よかった!
長い時間、一杯になった店内は、ちょっと窮屈であられたかもしれませんが、足を運んでくださった皆さんのおかげで、素晴らしい五月の夜となりました。
心から、感謝させてください。
そして、あの十数年前に、私が自ら封印してしまった感のあった楽曲たちが、こうして2009年に再び生き返ることができたのは、5月23日にお会いすることができた、たくさんの方々のおかげです。
追記 : いただいた数々のpicの中から8枚をこのpageに載せさせていただきましたが、他の写真は私のMySpaceのpage http://www.myspace.com/fairyophelia の「写真」の場所にアップしてみました。
5月25日、昼下がりに車を走らせた。
風は緩やかで、私は窓を開けてその風が連れてくる空気の香りを味わった。
味わいながら、不意に想い出した、今から18年前、天草、長崎、佐賀を旅した時のことを。
それは丁度、18年前の今頃のことで、私は天草の海で貝殻を幾つか拾った。
その貝殻たちは、今も私の家のあちこちに置かれている。
・・・今日の空気は、あの旅で感じた空気と同じだ・・・そう感じた。
棚にしまわれたアルバムの中の一枚の写真に写った自分の姿が目の奥に浮かんだ。
海辺で裸足になっている私である・・・なかなか暮れる気配のない太陽の光を浴びて、ぼんやり霞んでいるような私の姿である。笑顔の私である。
しかし、人生の一日というものは、二度と戻らない。
ただ、先へと、進んでいくだけ。
"do not look back"と言いたいこともあるが、記憶というものは、新たに表現されることで、別の正体となり、再び生命を授かる。
私はこの5月から夏至までの夕刻が、とても好きである。
sending my lots of LOVE to you.
..* Risa *¨