水曜の女/デュエット

 平年よりはやく梅雨があけたようだが、その割には陽射しがやや弱いような気もするが、どうかしら。
 ここ数日、雨こそ降らなかったが、夜明けから午前の9時頃までは曇っていて、正午が近くなるにつれ太陽が顔を出し、その後、夕刻まで、何となく、晴れているのか曇っているのかはっきりしない西の東京のお天気だったが、何だか湿気の問題を取り除けば、西洋の夏のような空の変化だとも感じた。

 昨日記したことではないが、朝方まで起きていることもある私であるし、または、もう少し早く休んでも、結局、熟睡している時間は4時間程度がせいぜいで、後は目覚めたりうとうとしたりをくり返していることも頻繁である。なので、午前2時に眠れば、午前6時に目醒め、午前3時に眠れば、午前7時に目が醒める。

 醒めた時、必ず窓の外、空を見るのである。
 朝、それが眠る前でも目醒めた瞬間でも、空を眺めるのが好きだ。
 昔、海に向かって若い人がやたらと叫ぶシーンのあるドラマなどあったが、空は黙したまま、心の裡を飛ばせるような気がする。

 今日、私は洗濯物を干しながら徐々に機嫌のよい青空が広がっていく様を見上げ、私の近くを飛ぶ小さな蜜蜂の羽音を聴き、その蜂に「仲良くしてね」と声にせず呼びかけた。
 すると蜜蜂は開けた窓から2階の部屋に入り来んでしまった。入り込んだ彼は、窓ガラスをのんびり歩き、動物が自分の匂いを付けるように、または匂いを嗅ぐように、しばらく我が家を調査していたが、私が彼のいる窓を少し動かした隙に、さっと空に舞い上がった。

 懐かしいことなど、久しぶりに、浅く掘り起こしてみよう。
 1969年の7月16日、アポロ11号が月に向かって飛び立った。その4日後の7月20日、人類は初めて月面に立ったわ・・・私は夏休みに突入する小学1年生・・・こういう素敵なニュースが発表されるのに、学校がお休みになってしまうのが、ちょっとだけ寂しかった。
 が、学校から開放され、ひとりの夏の時間を過ごせることに秘かに心休まるような気難しい子供でもあった。気難しいとは言っても、私は自分の家族をとても愛していたので、その家族と共に日々、あれこれ話したり、出かけたりしながら過ごす夏休みは、小学生時代の私にとって、最も愛すべき時間だった。

 ・・・時間。

 時間・・・それは、宇宙の原理かしら・・・そして混沌が発生し、分散されたエネルギーから物体が生まれ、育ち・・・やがては死すけれど、また時間というものの帯の中に改めて生を受け、飛ぶ・・・。

 今朝の蜜蜂、あれは、以前私が干した私のシャツの中にもぐり込み、そのシャツを着た私に驚き、私の左胸を刺したあの蜜蜂の生まれ変わりかもしれない・・・なんて、思いたくなった。
 彼は、それほど小さな蜜蜂だったの。そうして、私を小さな小さな針で突き刺し、消えてしまったの。
 

 さて、今週も水曜の女を担当させていただいているサイト、裸言の第三話がアップされております。
 今回は以下の曲など、お話の肴に・・・これはあくまで書いた奴の個人的な感覚ですわよ、お好きになさってくださいませ。


 



 



 Photobucket
 『YES』桜井李早:著/MARU書房

 著書『YES』の通販のお知らせです。
 お値段は1500円+送料手数料200円です。
 御注文は、お名前、発送先、部数をお書き添えのうえこちらまで。

 御注文くださった方のプライバシーは、当然、厳守させていただきます。


 ..* Risa *¨