蜜と薔薇と麗しき憂鬱の時間

 私には昔から独特の堕落の仕方があって、それは極めて密室的であり、罪や法を犯すようなこともないが、その堕落を今、指をしゃぶるように求めている。
 せめて、金曜まででいい・・・堕落させて。

 薔薇のお湯に入る。
 お夕食のキーマカレーの香りが指先についているのだけれど、この香辛料の香りと、ほんのり香る天然の薔薇の香りが奇妙に合い/会い、何ともエキゾティックな浴室となる。

 このキーマカレーは、仕上げに薄くスライスした茄子と玉葱をサッと入れ、サックリと合わせるのがコツ。
 ライスはサフランで炊き込んだ。

 では、蜜は何処に?

 極めて密室的な堕落、私のこのような堕落の軌跡は少女期からの癖である。少し、たった少し自分を縛ってみるだけで、すぐにそれを緩めようとして、反発するのね。
 だから、駄目なのである。

 だが、その堕落のブラックホールは、人によっては落とし穴なのかもしれないが、賢い兎ならば、そこで展開と回転を愉しむことで、蜜を見つける。

 それは、今日のように涼しい一日の、夏の夜の夢のごとく。

 また、作家フロベールが、「心は年をとらない」、と、誰かに、書き、贈った言葉のごとく。

 トロバドール風の彷徨であり・・・

 その誰かは、それに応えて、「想像力を持つ時、奇妙な病にかかったようになります」、と、返事をしたごとく。

 これら全て、彼ら流に言うところの、ただの「店の奥」の現象である。


 この時刻にあって、私のいる窓はまだ開け放たれていて、そこに流れ込む秋のような黒く澄んだ風に揺れるシガレットの蒼白い煙の流れを、真っすぐにしてしまうのが、惜しく。

 昔、祖父や父が見せてくれた煙の輪を作ろうとしてみるが、上手くできない。

 女が口元から輪を描くのは、難しいものね。


 こんな涼しさがつづくとは信じ難い今日この頃。
 疑問は耳たぶに投げかけられる。

 ひとつとして、同じ夏は、ないのね。



 さて、Risaからのお知らせです。
 9月10日、下北沢leteにて、ライヴをさせていただくこととあいなりました。

 出演 桜井芳樹(g)&桜井李早(vo)
 会場 20:00
 開演 20:30
 前売 2500 yen
 当日 2800 yen

 お問い合わせ、ご予約は、lete まで、よろしくお願いいたします。




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 『YES』桜井李早:著/MARU書房

 著書『YES』の通販のお知らせです。
 お値段は1500円+送料手数料200円です。
 御注文は、お名前、発送先、部数をお書き添えのうえこちらまで。

 御注文くださった方のプライバシーは、当然、厳守させていただきます。


 ..* Risa *¨