チャペルにて
夏はゆっくり階段を降りようとしている今日この頃だが、先日、私は石の階段をせっせと登り、丘の上の古いチャペルを訪れた。今、その古いチャペルのてっぺんでは、G.Tounier氏の展覧会が行われている。氏は穏やかな声で私にそれぞれの作品について話してくれた。
ところでチャペルは私をうっとりさせた。それは決して広いチャペルではない。恐らく、何も展示されていなければ、そこはもはや廃墟に似た石壁の内部である。
その建物は、現代がたてる音や、現代の人間が齎す匂いなどを寄せ付けないような気配を私に感じさせた。街の真ん中に聳えていても、その塔のてっぺんでは、古の時間に迷い込んだ気持ちになる。
恐らくこのチャペル、普段は高台から空へ口を開けた洞窟の如く、遠い昔を夢見ているのだろう。
こんな場所で歌ってみたいと思った。
貰いなど、要らない。
ただ、ひととき、昔へと想いを馳せ、自分の声を聴いていたいだけである。
pic1: 高台のチャペル
pic2: Risa & G.Tounier
pic3: チャペル内部 + G.Tounier氏の作品の一部
pic4: 崩れた洞窟
Risa :*)