葡萄のお寿司と鮮魚たち...或は口の中の平和



 フランスのお魚売り場も日本のそれと勝るとも劣らず。いつも私を愉しませてくれる。
 見るからに新鮮そうな鱈(pic1: 右/merian)をオリーヴ・オイルでソテーしてみれば、しっかりとした"身ごたえ"、すっきりとした舌触り。
 そして少し前に買ってみた調理済みのサバ(pic2: maquereau)は味醂付けに似た色合いだが、かなり塩辛い。それでも骨をほとんど気にする必要もなくバリバリと食べられる。 
 更にお惣菜売り場で見つけた一品(pic3: 下中央)は、お米を葡萄の葉で巻いたお寿司に似たもの。これはワインに浸けて仕上げられたもの。半分に切ってみれば、なるほど、柿の葉寿司よろしく、しっとりとした葡萄の葉の食感と、うっすらと口の中で広がるワインの風味を満喫できる。こちらは塩分控え目である。
 フランスの味覚は日本の味覚に近いのではないかとさえ感じるようになる。そして思いのほか、エスニックも好まれている。それというのも、単純にイメージする丁寧に調理されたフランス料理というものだけでなく、ここではトルコやアラブ、アフリカなどの国々から運ばれてくる食材や、それらの国々の齎したレシピが長い間にミックスされ、様々な料理を見出してきた側面がある。
 日常に見るフランスの台所は、どこかオリエントな魅力もある。
 思えば、日本人の食卓も同様、色々な国々の食材や料理が組み合わされながら今日の日本の台所が育まれてきた。

 
 このように、どこでも、世界の味覚や食材が仲良く交流を重ね、お互いに高め合うことを思うと、人間同士が闘うことに何の意味があるのだろう。
 だって、美味しいものをいただいて、不愉快になる者があるだろうか。
 人間が豊かさや喜びを見出した時に「美味しい」というひとつの平和な心が生じる。
 口の中の平和…口の外の平和。
 それは食という言葉に限られるばかりではない。
 豊かさや喜びとは、ただ、作る愉しみである。

 pic4: おまけにこのような魚たちを見ると、塩焼きでワインをいただきたくなる。



 


















 Risa :*)