道行き
…私の靴は、かつてあの淡いピンクの薔薇が咲く母の庭を歩いていた。
薔薇の下には撫子が咲き、小さな蟻たちが歩き、私は彼らを眺めながら、彼らに問う…生きているあなたたちは何を思う?
"蟻とキリギリス"の話のせいだろう…彼ら蟻たちにそれを訊かなければならないという幼かった私の観念は。
しかし彼らは応えない。
無関心…社会は私の外にあった。
だから私は魔法の靴を履くことにした。
それは7つの海を羽根をもって飛ぶのだ。
そういう旅を、私は『道行き』と名付けてきた。
私は何も明らかにすることはできないだろうが、それらは全て、私の体験の中に生きる。
もう、恐れたくはないのだ。
そして何かを恐れるには、もはや私は少し年を重ねている。
幸いなのは、私が未だ、その向こうにあるものを見ようとしていることだ。
足かせは要らない。
私は扉を閉めず、私が求める世界を作る。
それはためらわない美と愛…私だけが知る美と愛の原理であり、時には、危険を伴う刺激だ。
私が嫌う言葉…それは、
「もっと慎重になりなさい」
何故なら、私はこれでも、案外、慎重だったからだ。
それは私を貶める。
しかしそれは私に、更に孤独な魂を与える。
いいだろう…
Risa Sakurai© :*)