- 私は"アベノミクス"などというみっともない造語を声にする事はない -



 私は自分が感心できない言葉を声に出して音にする、つまり、話すことが嫌いなのだ。
 我々日本人は<失われた20年>という言葉を聞き知るが、このまま安倍にやらせておくと、<失うべき未来>、もしくは<破壊される未来>となり、将来(が、あれば)、1990年代初頭から21世紀までの<20年>という時間がどれほどほんの一瞬だったか、後の歴史書に幾ばくかのページ数で解説され、やがて2011年の東日本大震災以降の瓦解の歴史がつづられ、その悲劇が生き残った学生達の試験問題となり、彼らは泣く泣く、正解を答案用紙に書きつづらなければならない未来が来る。その時、日本の人口はどれくらいで、どのような国家となっているか、今、私たちには見当がつかない。
 かつて英国では、1960年代から、日本で<英国病>と名付けられた経済不況が長期にわたって続いたが、バブル崩壊後の日本はその比ではないといわれている。例えば1979年に首相に就任したサッチャーは彼女の政権時代、多くの犠牲をはらって英国の景気回復に取り組んだが、それで潤った者もあれば、女史のあの政策を呪った者も多かった。生活格差が著しく生じ、日本人は西洋の先進国は豊かだと未だ信じているやもしれないが、よくよく観察してみればそれは大都市や観光地として名高い場所ならそのように見えてもとかくそこから少し離れてみれば事情は変わる。しかも忘れてならないのは、フォークランド紛争だ。アルゼンチンと英国との領土問題、しかも島である。その島がどちらの国の領土か、それを所有する事にどれくらいの価値がある事かという事を考慮するより、両者目的はメンツであったわけでそういう闘いで確実に人が死ぬのだが、勝った国では英雄となり、その闘いを指揮した人間は昇格する。
 言うまでもなくこのフォークランド紛争は日本の尖閣諸島問題に類似した問題だ。そしてあの1980年代から世界は確実に変わった。一見、フォークランド紛争は19世紀までの西洋の植民地戦争の延長の如くだが、1981年当時、それはもはや19世紀とは異なる西側問題として起こり結果、英国が勝利する事で武器によるみせしめを知らしめたひとつの残念な争いと終わった。たまたま私は英国の例をあげているだけで、それはその他の国々でも同様だったわけで、そう、武器である。いや、武器だけではないのだが、第二次世界大戦が齎した軌跡といえば、武器と医学(医薬品)のいわば実験ともいえる恐怖である。その頃、新自由主義という言葉のもと、世界が動き始めるのだが、日本国民はバブル期、皆、浮かれていた(今や、あの肩パットの豪快な服たちこそ、高価でこそあれどどうにも処分するのに困る代物だろう…服飾に長けた人ならご自身で幾らでも手直しできるが、そうでなければお金もかかる。皮肉なのは、確かに当時の製品は高くとも素材が良かったという事だ。捨てるのは忍びないと思わざるを得ないのが庶民の生地の無さと今や足元まで見られていたような気さえするが、箪笥の肥としてはイケスカナイだろう)。
 20世紀が戦争の世紀と言われた過去が在ったが、これは職業軍人以外の庶民までがかり出されたからそう呼ばれたのであった。そして第二次大戦後の日本ではそのような事は今後起らないと信じられてきたが、その期待は裏切られる事になりかねないのが21世紀だ。
 さあ、そう考えると、私たち庶民は<日本病>に感染してその特効薬もないまま、戦争を繰り返す国家という末期に差し掛かっていると思えないだろうか。ひとつ間違えたら、の話だが。


 そして法人税、誰がそれを負担してるか。


 全く、日々、毒を盛られながら生きているようなものである。




 




 経済を専門としているわけではない私という者の綴ること故、あしからず。



 
 李早




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