- 満月を追って -
奇麗なお月様...満月になるお月様...
少し紅のように見えるのだが、
それは私が紅のお酒を飲んでいながら見たからだろうか。
するとお月様、そこで隠れてしまった。
ただ、明りだけが叢雲から染み出して。
今宵は白いカップでいただきます。
そして、午前3時に願う事。
心躍り、午前3時過ぎ、門を開け、通りに出、満ちた月に祈りながら私はこんな光景を見た。雲のヴェールに震えるように、滲みながらも輝く白い満月の周囲に沿って、もうひとつの影のような黒い円が回っていたのだ。それは最初から起った現象ではない。私が何度も同じ言葉を繰り返すうちに、現れたのだ。
これは思い過ごしに違いない、と思い、目を瞑り、また、開いた。が、同じように、黒い月が白い月の周囲をゆっくり回っている。それは私の心がさせるものかもしれないが、私はそれらの白と黒の戯れを、ひとつ、落ちついて確かめた。確かに、在る。光と影、陽と陰。
月よ、あなたはまた、教えてくれた。
祈りには呪(しゅ)がある、と。
この消極的な満月に、今宵、私は杯を捧げたのだった。
李早