3月17日、ウグイスの声と金子國義氏...








 3月17日、午前7時に今年、最初のウグイスの清らかな鳴き声を聞いて目覚めた。一日中、暖かく、風も心地よく、窓を開け放ち、一仕事終え、夕食の支度までの時間、余り布でブックカヴァーなど縫うという、私にしては珍しい事をしていたのだが、その後、画家の金子國義氏が亡くなったという事を知った。
 金子氏はまだ、78歳、とても残念だ。澁澤龍彦氏の翻訳『O嬢の物語』を私が知ったのは10代の頃だったが、この表紙も金子氏の妖艶な作品である。またロマン文庫の表紙を飾ったのも氏であり、実に大学時代、このロマン文庫の一冊を購入して読んでみた事があったが、ふむ、その書物は今、宅に見当たらない。
 そして"ユリイカ"、書棚に並べられているものとは別に、もう何年も何年もずっと私の卓の脇に置かれている『ユリイカ/Eurika - 特集ラファエル前派』(初版昭和44年/1969年)。
 表紙を眺めながら、そっと接吻して、おやすみなさい。


 Rest in Peace


 pic: "不思議の国のアリス/Alice in Wonderland" ~ 金子國義/Kuniyoshi Kaneko




 桜井李早