ドローンとポールと"B"








 青天の霹靂という言葉があるように我々の頭上には何が堕ちて来るか解らない。ドローンが蚊の如く官邸の上に堕ちた事がメディアを騒がせるのであれば、いっそ官邸を超合金で覆ってみてはどうだろう。三菱日立が応援するだろうし、覆われた中のものもついでに閉じ込めてしまえば世は別の方向に動くかもしれない。


 超合金という言葉を最初に知ったのは永井豪のTVアニメ『マジンガーZ』だった、1972年頃、私は小学校半ばで『デビルマン』も観ていた。両者マガジンは読んでいないがマジンガーでは光子力ロボット、デビルマンは悪魔に魂を売ったにも関わらず正義に目覚める寸法だ。時の首相は田中角栄


 日本列島改造が説かれ、公害、オイルショック。それ以前に公害を提示する映画として映画『ゴジラ対ヘドラ』があったが、そもそもゴジラ放射能によって巨大化した怪獣の姿で原子力の恐怖の象徴とされたのは'50年代に遡る事は皆ご存知だろう。


 最初は恐怖であり悪であるゴジラだがやがて人類と"close"/寄り添う"世界のゴジラとなる。'71年の段階でゴジラは'ヘドラ/反吐等'をやっつけるわけだが、そのようなゴジラの英雄ぶりにもはや人々は飽きてくるのが'70年代半ばつまり学生運動ベトナム終焉期なのだ。


 角栄をどのように評価するか様々かもしれないが彼は或る意味ゴジラだったかもしれない。がそれ以上に恐るべきは中曽根内閣期だろう。'70年代半ば、人類レベルで動乱に嫌気がさしLennonさえ子育てに入り沈黙する時代。さあ、どういう事になったか感づく人は今や解るだろう。


 予め準備されてきたグローバリズムの実る20世紀末。復活しようとしたLennonは殺され日本経済は何故か泡にまみれた。しかしマッカートニーは今も相変わらずタフだ。ポールはジョンに"get back"と歌いかけたが、それがどんな意味か…


 ポールがジョンに戻って来いと言った場所は…それはBeatlesに限ったのではないかもしれないわ…それは、あなたや私のような者たち、には、介入できない特別な仕組みの世界の事かもしれなくてね…だからジョンは死んでしまった、"IMAGINE"という言葉を遺して。


 でもジョンは戻りたくなかった。そしてジョンは"REVOLUTION"という言葉よりも”IMAGINE"という言葉の方がよっぽど好きだった。勿論、ポールには"革命"なんて言葉で音楽活動をするのは似合わない。彼は音楽で人々に歓びを運ぶ天使のような人…


 ジョンはそれをポールに託したわ…その幻想のような世界で成功する事で生涯、君は現実の世界で生きる人々に歓びを与えろよ、それが君の仕事だ…それは魂の在る場所の違いなのだろう。ポールの魅力はややこしさを感じさせない所にあり見事な才能であるのは言うまでもない。


 およそ四半世紀近く前になるが、私は日本のバブル景気が終焉を迎える前夜、東京ドームでポールを鑑賞した。それは熱烈なBeatlesファンだった私にとって、素晴らしい体験だった。だがその時、何故か、もうこれで十分だと感じた。




 今日の食。朝、宅にて地中海レタスとオムレツのサンドウィッチ。昼、隣街の老人経営の店にて奴と餃子とビール。夕、宅にて冷しトマトと揚げ茄子、二年ぶりの鯵の干物と白米、お揚げと葱と若布の味噌汁。
 朝、聴いたBlind Faith、夕に聴いたBST/1968。




 けっこう、真面目に生きてます。




 李早