一千一夜物語



 ポークの塊をコトコト煮込みつづけて今、白ワイン...ほっ。


 わたしの、あくまでわたし個人の自由に乾杯。


 –––少し眠りましょうか。


 –––いや、もったいないほどのよい香りが、わたしを寝かせたくないようだ。


 –––よしなに。


 –––たしかに。




 手をいれて、しかし、手かげんしないこと。
 そういう気でいると、何もかも踏みこえていけると思うが、これは10代の頃のわたしの気構え、それはだいぶ抜けてきたが、時々現われるとそれは、今も<儘>...。




 桜井李早







 pic: 「一千一夜物語」~ Leonor Fini