星と時
21時を過ぎた頃、外に出て、少し歩き、夜空を見る。
天上にはオリオン座。
そのオリオンの周囲には、黒に滲む銀の光が散りばめられている。
遠く、遠く、その光はこの地球にいる地面の上の私の上に輝き、それは、もう、ずっと昔から変わらない。
同じ星々の光景を眺めているが、年月はこの地上で確実に経ている。
真上から北西に視線を移す。
そこには、星が見当たらない。
ぼんやりとした薄明るい、煙のような夜空があり、それは私の頭上とは別世界の空に思えた。
その空の下には、遊園地がある。
遊園地はもう閉まっているだろう。
しかし、そこに見える空は、人工的な灯りの残り香のごとき霞の夜なのである。
人間は、暗闇に危険を感じてきた・・・そうして、その闇を明るくしてみせることで、安らぎや平和、また、この冬の寒さを補うために火を焚き、暖をとり・・・暮らしてきた。
街が、都市がライト・アップされることで活気づき、夜であっても人々はそこに集い、夜を昼とは別に楽しむという生活を培ってきた。
これを、ひとつの文明と呼べば、麗しいこと。
しかし、そのために、見ることのできない、小さな星たちも、存在してしまった。
・・・私の居る場所は夜だが、別の場所は、静かな夜ではない・・・その暗闇では無い場所で、諍いが起こっている事情がある・・・イスラエルのことを想う・・・この、12月25日を過ぎれば、問題が起こる・・・干渉の絶えない歴史を持ち、どうにもこうにも・・・私の生きている間に解決があることを望むのは、難しいのだろうか・・・?
時は、よく流れる。
だが、速く流れる。
12月も、あと残すところ数日。
12という数字、1と2。
ワン・ツゥー、で、行ってしまう。
振り出しの「1」に戻るためのこの一ヶ月は、短距離走者の鍛えられた足の脛のごとく、引き締まりながら、時間を蹴って、地上を行く。
過ぎ行く一年に、命が減るような気がする昨今だが、いやいや、そうではなく、その速さにあやかる気持ちになり・・・
・・・そう、あたかも、嬉しい事が待っていて、そこに近づくための時間を惜しんでいるのだと、少し発想を変化させてみることにする。
さすれば、楽になる。
私はただ、あの暗闇に滲む星に、近づいているだけ。
天上に"YES"・・・
LOVE & LIGHT