フランスにて / マーケットと呼吸



 Risa_10.2
  Corilsani






 そう、日曜日はこの地域のマーケットに出かけ、とてもチープな鍵盤とアイリッシュ・ドラムを購入した。
 とても穏やかなマーケットで、日本の焼き物などもあった。雨上がりではあったが暖かく、日が射せば半袖でも十分なくらいで、この日は初めてフランスのマクドナルドに入ったのだが、注文したのは"ビッグ・テイスト"というビッグ・マックとクウォーター・パウンダーをひとつにしたようなサイズだった。


 昨日は早い時刻に買い出しに出かけ、お昼は森の中のテーブルでサンドウィッチのお昼をした。
 軽井沢辺りを走っていて、ふと脇道に入って行ったらこんな場所があった...などということがあったら素敵だと少女の頃から想っていたが、フォンテーヌブローの森の中には本当にあった。コリンが言うには、ここはあまり人が訪れないところなのだとか。
 しかも、そこにパラパラと雨が落ちてくるところなども、あたかも軽井沢のようであり、ちょっと新鮮なお昼だった。


 午後は練習でございます。
 コリンの曲に、8分の6拍子の美しくシンプルなトラッド風の曲があるのだが、この曲を中心にウォーミング・アップ、私も鍵盤を弾いたり、リズムを叩いたり一緒に演奏した。
 人にはそれぞれ演奏の癖のようなものがあって、私が人のことを言うのもナンだが、その人のテクニックではなく、当然、呼吸や乗り方を一応知る必要がある。話が少し逸れるが、以前、お芝居の音楽の録音の際、中尾さんがドラムを叩いたのだが、その日、私は彼のドラムでピアノを弾くのは初めてだったのだが、彼のぶっ飛ばしように驚いたものだった。お話はここフランスに戻るが、私はそのような訳で、コリンの呼吸を知る必要があった。ポール・サイモン、ディラン、コーエン、ヤング、アメリカ、キース・リチャーズウディ・ガスリー...実に、彼はたくさんのシンガーソングライターの楽曲を弾き語ってくれるが、先日"Tangle up in blue"を弾き語った彼はディランさんも苦笑するくらい独特のスタイルで演奏しはじめたので、私は最初、コリンが何を弾いているのか解らなかったくらいだ。
 呼吸を知ることは、相手の心を知ることに似ている。音楽は人間の人柄を表す。私と彼は音楽の素晴らしさを表したいばかりではなく、むしろ、人間の素晴らしさを表したいのではないかとさえ思える。
 そして感じるのは、私たちは形式にこだわりすぎてきたのかもしれないということである。
 この形式については、いつの時代にも破ることをしようとした人たちがたくさんいることを知っているが、私が今言いたいのは、形式を壊すということではなく、治まりすぎず遊ぶということなのだ。
 ええ、遊んでいるようにまずは何か出来たらいい。それが理想だ、苦しまず、纏めてみたい。
 きっと、そのように、最初に遊ぶように、ひとつ作ることができれば、これから愉しいだろうな。


 お夕食はチキン、ラム、玉葱、ガーリック、ズッキーニ(日本のサイズの倍です)、ピーマン(これも倍のサイズです)のトマト煮とクスクスをお料理した。




 明日はパリに行く。
 その後、数日のうちに南の別荘へ向かう予定になっている。アルルの街が楽しみである。
 そして南仏では、譜面書き、プラクティスは勿論、創作その他、いよいよ、色々とやるべきことがある。




 神様、病気だけにはしないで...




 Peace & Love






 Risa