遠くの音、遠くの声が聴こえてきそうな午後に



 例えば、第2の月ともいえる"まほろば"。
 或いは、第3の太陽とも言える花々。
 いつの時代でも、私たちが最善と思う事ができるものだけが、真実。
 そして、想像的労働者であるために、
 私たちは或る時には、前進的な退化の道を無意識に歩いている事もあるかもしれない。
 時には、サメのように素早く獲物を捕らえ、
 時にはカメのように万年の命を持つかのように遅く。


 その愚かな夢想家が、解放されたがり、開眼しようとする時、
 想い描くのは、あのA.ブルトンが夢見たかつてのオルトバのような光景かもしれないわ。


 解らない、だから想像する、この21世紀に。
 そこには、自然界の全ての調和があり、
 光りが差す道をオルフェウスが悠々と歩いて行くのだとか。
 奇妙で美しい植物、それらの中には毒のあるものもある…
 蛇、蜥蜴、鳥たちは高く飛び、頭上に噴火したばかりの火山灰のような模様を描く。
 その勇敢なオルフェウスは、その場合、何を思うだろう?


 恐らく、彼は何も恐れず、何もかも愛し、そうして、何もかもに関心を抱くだろう。




 -南フランスから、遠くの音、遠くの声に愛をこめて-




 Risa Sakurai/桜井李早© :*)