- 嫌えよ、私を、魔女と言われて結構、それはエートスだからさ -








 慈悲と恐怖、快楽と苦痛、調和とカオス…
 それらのバランスを考えてみるといい。
 闘いがどのように始まったか、疫病の起源を…
 そのような歴史を作ったのが何だったのか。


 そして、今、ちょいと出かければ会えるかもしれないあなたに言う。
 不安だ? おっとりした事言うんじゃないよ、たいがい、大柄で舐めてるくせに。


 ああ、私はキリギリスかもしれないが、'カナリア'とかいう与太な体質じゃない。
 36キロとか37キロとかで生きているがダンサー気質だからな、太らないだけだ。
 酒飲んで体調壊して足腰が効かなくなるような柔じゃない。
 女はな、そんな泣き、言ってられない。日本の男は誰も助けられないからな。


 ただ、冷たい目線を魔女に与えるだけだ。
 箒を持っていればいいのか? え?
 女は、厄介物を家の外に放り出すさ、だがそれは愛する者のために、だ。
 間違えるなよ、粗大ゴミになるようなものを、女は育てない。


 そしてあなたも立派に育てただろう、あなたの愛すべきものを。
 しかし、あなたは、あまりにのぼせている。


 私の足には、羽根がある。
 それは父と母が与えてくれた羽根だ。
 更には、私には信頼できる人がいる。
 時々、その人は、餓鬼で、困るがな。


 私は誤解される事に慣れているから申し分無くことわっておく。
 私はね、この「魔女」という存在が好きで、長く地味に、研究してきたわけだ。

 


 Risa Sakurai / 桜井李早 ©