アリスの領分



 ちょっと…いや大きく、"ああ!" と、発したくなるような気分なのだが、あえて時事というソースをかけるように取りはからって––––


 自由と平等、平和を求める民は国が決定しようとするあり得ないような法案や議論を傍聴する。
 弁は止まず、とりとめなく移り変わっていく様を誰も阻止できない。
 それは政治家の陶酔により誕生する気違いじみた悪夢の氾濫と知ってはいても、塞き止めようにも渦の中、ああ、アリスのように夢から覚めたい。


 それはサロンなのだろう。
 だが私のようなものにとっては、論する時間より個としての無比の時が必要なのだ。


 それを例えば、"アリスの領分"、と言ったら、面白いだろう?


 詩う/歌う者が目覚めている間とは、その時々において、花が咲く力に似た時間の長さ同様、全てを尽くす現実。
 夢は長くとも何れ醒めるならよい。
 そして生には限りがあり、そこにはひとつの虚構も、ない。





 


 pic ~金子國義




 桜井李早