- カルメン・マキさんの録音: 『デラシネ」そして『望みのない恋』-








 カルメン・マキさんの録音が行われました。
 私が楽曲提供させていただいた『デラシネ』と『望みのない恋』です。
デラシネ』はマキさんの詩に曲をのせました。これはマキさんの言葉から私が勝手に想像する...あたかも白い夜着を纏って暗い世界に立つ少女の恐れと夢想を、旋律で表してみたかった...永遠というイメージを美しく象りたかった...デラシネ、しかし、その浮草のように自由に流れることへ憧れと一種の覚悟、敗北への恐れ...を、永遠という魔法、或いは幻のような一瞬の世界として描いてみたかった...永遠という理想への儚さを私が如何に美しく音楽として作ることができるか、そのひとつの挑戦を、マキさんは与えてくれました。
 ランボーの詩にあるように、「またあれが見えた、何が、永遠が!」
 を向こうに置きながら、誰かが言った「女とは永遠を夢見る」という面白い皮肉を美にするために、微笑を持って...。


『望みのない恋』は、スペインの詩人、ガルシア・ロルカの詩ですが、マキさんがこの詩を歌いたいとおっしゃってくださり作りました。濃厚で妖しい恋の場面を耽美に、やや西洋の古典的な旋律を用いて表しましたが、難しい曲です。このような歌を表現豊かに歌える人は少ないかと存じます。しかしマキさんだからこそお歌いになれると確信して差し上げましたところ、素晴らしく表現してくださっているご様子に、私は感謝してあまりありません。リリースが楽しみです。
 この企画をされた作家の津原泰水さんの心意気はそれは素敵なのです。
 そして、ミュージシャンとして参加されている西嶋徹さん、桜井芳樹の魅力湧く、つまり、魅惑の演奏も楽しみです。


 カルメン・マキさんは今日、10月11日、−冥土への手紙ー寺山修司生誕80年記念音楽祭で歌われます。
 場所は恵比寿ガーデンホール 17時会場 18時開演 



 
 ...角をよくはやす私ですが、このような歓びがあると、羽がはえます。
 単純ですね :*)




 感謝をこめて




 桜井李早