Risaの著書『YES』の断片を、少々ご覧になってくださいませ
さて、著書の発行から2ヶ月が経ちましたので、今日は再び、この『YES』に綴られている作品の中から、少しだけ抜粋して紹介させていただきますね。
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何かを発掘するような行為をつづけていると、ふと、自分が透明になっていくような気がするわ。
透明とは言っても、消えてしまうわけではなく、私は薄く軟らかい皮に覆われた蛹のような存在として椅子にすわり、コバルト・ブルーの大きなヴェールに守られながら、躯の一部に神経を向け、蒸溜物の見定めをする。
視線を移した時、そこに見るのは、流れるようなドレープの、ほんの一瞬の、揺れ。
シガレットに火をつけながら、ヴェールの外のことに気をつけてみる。
今日のように、巨大な低気圧が通り過ぎていく一日は、全てが水中の出来事のように思える。
私が在るのは、ヴェールの中のはずであるのに、外を想ったとたん、ここが水槽の中に似た世界に豹変する。
私は浮き、横に運動し、ひとつの中心であったはずの点は、斜めに移動し、平行に傾いていく。
その傾きとは反対の方向へ、シガレットの煙は流れ、私から遠ざかる。
シガレットを消した。
すると、私を囲んでいたものは水槽ではなく、再び流れるようなコバルト・ブルーのヴェールとなる。やや、スモークされた、グロッタのような。
グロッタ……ここは、洞窟か、それとも、胎内か?
雨のせいかもしれない。
咽せるような、怯えるような、足許の水たまりに気配りしながら、女は旅をしようとする。
現在は、このコバルト・ブルーのヴェールの中に静止しているが、想像の彼方で、女は旅に出ようとする。
女は、乗り物を選ばない。
(つづく)
~「グロッタ」~ より
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彼が言った。
「ここの夏は通り過ぎた、子供たちの声が消えたこの街で、僕は何を見るだろう? そして何を想うだろう?」
彼女はこのように応える。
「時折、濡れた新聞がどこかから飛んで来て、私につまらない記事を押し付けるの。印刷の文字は崩れかかっていて、本当に崩れてしまう前に何とか記事を残そうとして、インクを私の腕や足にTATTOOのように刻んで去っていくわ。虫眼鏡でないと見えないくらい小さな文字を刻まれて、私は三面記事か安っぽい広告にでもなったように佇んでいるというわけ」
(つづく)
~「土曜の午後、ドライヴを」~ より
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私の部屋には、等身大の十字架があった。それは十六歳の私が作ったもので、二枚の板をクロスさせ、釘で打っただけのものだったが、私はそれを白いペンキで丁寧に塗り、青と赤の小さな花や葉を至る所に細かく描いた。私はこのトリコロールの十字架を生き物のように扱った。テディ・ベアを隣人にするには大きくなり過ぎた少女は、美しい十字架を抱くというわけである。
しかし、いつしかその十字架は、壁と洋箪笥の隙間に納まり、ウィリアム・モリス風の花柄の布に覆われてしまった。
(つづく)
~「青春の光と影」より
その他、「女は口元に火薬の匂いをさせる」、「黄金色とメランコリー」、「Epiへ」、「優しい女の心の奥底にあるもの」など・・・。
『YES』は、散文、詩、fairy tale、ダイアリー、LOVE、そして私が生涯を通じて寄り添っていたい音楽家たち(レノン、ディラン、ストーンズ、ラヴェル、ドビュッシー・・・etc)へのオマージュ、そして、旅について綴った作品です。
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著書『YES』の通販のお知らせです。
お値段は1500円+送料手数料200円です。
御注文は、お名前、発送先、部数をお書き添えのうえこちらまで。
御注文くださった方のプライバシーは、当然、厳守させていただきます。
そして、『YES』出版記念パーティー&ライヴ / "Going a-Maying"のお知らせです。
5月23日(土曜日)
出演ミュージシャンは、青山陽一、sakana、桜井李早+桜井芳樹...(飛び入りゲストさんがあるかもしれません!)
open / 18:00
start / 19:00
前売 / \2000 (ご予約は月曜日を除き、18:00以降、直接、お店の方に電話でお問い合わせください)
当日 / \2500
場所 / MARU(東京都東村山市野口町1-11-3 tel 042-395-4430)
dream is the thing with soft feathers in the blue sky...
thank you
PEACE & LOVE
..* Risa *¨