- 過去の罪は長い影をひく -








 昨夜は、高倉健主演『君よ憤怒の河を渉れ』を鑑賞。1976年の作品、ハメられた検事が政界と製薬会社の癒着による悪を暴くという物語が示すものは日本における学生運動が終わった日本の死角だったのだ。今、人々はこの映画の出来事をより身近に感じられるだろう。Neil.Youngが最近モンサントのボイコットを掲げる写真を先に貼ったが、この『君よ憤怒の河を渉れ』は高倉健さんが東映を辞めた後の最初の作品だ。世界において、製薬業界の闇は見えない所でずっと前から生じていた。それには事情が隠されていただろう…例えば日本人なら、かつての"ミドリ十字"の件でその暗黒を目の当たりにしたはずだ。だが、東日本大震災後、この国は更に醜い暗闇による健康被害を日夜、毎分、毎秒、高いレベルで味わっている。普通に暮らすために私たちは今、気遣う必要のある事が増え過ぎた。そのような国家が豊かだろうか。些細な、或は個人的なエゴを支えるために生きているだけでは済まされない21世紀に突入した。ああ、今、私たちはまだいいだろう。が、後に生きつづける子供たち、若い人たちの未来はどうだろう?


 過去の影は長い影をひく…。


 映画は娯楽的要素も兼ねながら興味深く、見応えのあるエンタテインメントとして仕上がっているが、'70年代、ベトナム戦争学生運動も終わりになり、Lennonが暗殺され、'80年代、日本がバブル期に向かい始め、世界の先進国と言われる国々が潤ってきたのは、何故か。

 







 映画に見る当時の新宿や変わる前の立川の姿が懐かしい。
 が、いつからこの国に、バフォメットが乗り込んできたのか。


 我々は、それをすでに知っているはずではないか。

 


 李早