- 戦略、或いはゲームという麻酔薬/麻酔役 -



 1935年、不況下のもと人々が熱中したゲームがあった。「モノポリー」だ。
 自らの資産を増やし相手を破滅させるゲームだが、この2016年、同じく不況の時代に「ポケモンGO」がヒットし始めたようだがどうだろう…
 たかがゲーム、が、この現象に先の戦争前夜に似た空気を感じるのは私だけか。
 のサインが恐い。
 80年以上前と今日ではゲームの方法こそ異なるが、それを"PLAY"する者は始まったら最後、という指示があるかぎり、続ける。
 これらのゲームと同じように、戦争もゲームのように行われていく。
 多く指示されるものに人々が興じるようになる時、残念ながらそれは洗脳される時であり、それは弱い者たちが破滅させられる時でもある。
 ここで言う弱い者とは、単に金銭的弱者とは限らない。
 正しく生活していると信じている人たち、或いは生きることに対しておっとりしていたり、社会の動きに楽観して過ごす人たち、人生の裡に愉しみがあると実感し恐れない人たち、日本が再び戦争に巻き込まれるとは信じ難いと思う人たち…皆、それに該当してしまう。
 そういうわたし自身もその弱き者なのだろうと思う。
 では誰によって破滅させられるのか?
 それは大衆を巻き込み、操り、痛みを感じさせないためにゲームに熱中する人々を増やすことにより、自分たちの利益を欲しようとする輩によってなのだろう。
 麻酔のようなものだ。
「今、注射しますから一瞬、痛みますよ。でも、すぐに楽になります」
 そうやって緩和され治療された気になり、のサインでゲームが動きだし、弄ばれる戦略だ。
 人間の命は玩具ではない。

 


 李早